着物の染み抜きおおつき工芸

おおつき日記

2016-01-31

袖口汚れ  

袖口は肌と直接触れ合う部分なので着用すると必ず汚れます。

丸洗いやお手入れに出したのに袖口の汚れが残っている・・・そんな経験ありませんか?    

まず1枚目ですがお預かりした時点の状態です。

まずは油性の溶剤で処理してみます。

  

この2枚目が油性処理した状態です。薄くはなってますがキレイになった、とは言えません。

通常、一般的な丸洗いは油性処理のみの場合が多いのでこの程度の仕上がりとなってしまいます。

ですが、ここから一手間二手間加えると仕上がりがまったく違ってきます!

   
 
3枚目ですが先ほどよりも薄くなってますね。これは部分的に水洗いする事で、油性溶剤では落としきれなかった汚れを落とせた結果です。

薄くなったとはいえまだ落ちきってません。これは汚れではなく変色です。

次に部分的に漂白していきます。

 

4枚目ですが殆ど気にならないくらいになりましたね。

 汚れは時間が経てば経つ程落ちにくくなり変色につながります。変色になってしまうとどれだけ洗っても薄くなる事はありません。
早めの処理に加え、より適切でより専門的な技術が必要だと思います。

2016-01-17

汗抜き

お手入れを語る上で外せないのが汗抜きです。

汗が生地に残留して黄色い輪ジミになってしまった、という経験がある方も少なくないと思います。この記事で汗抜きの重要性を感じていただけますと幸いです!

  

さて1枚目のこの画像 、袷の着物を裏返し胴裏を表向きにしてありますがぱっと見汗ジミがある様に見えませんよね?ここにエアブラシで霧状の水を軽く噴霧してみます。

       汗は通常の丸洗い(ドライクリーニング)で落ちる事はありません。付着しているシミと同じ性質の溶剤で処理するのが基本となるためです。丸洗いは基本ドライクリーニングなので使用する溶剤は油性。汗は水分なのでそれを落とせるのは水性(水)という事になるのです。

  

見事に輪ジミが浮いて来ました。着用するとちょうど脇辺りにくる場所なので脇の汗ジミという事になります。

ここへ汗抜きの溶剤を付けて胴裏表生地両方共に水で洗っていきます。汗は通常の丸洗い(ドライクリーニング)で落ちる事はありません。付着しているシミと同じ性質の溶剤で処理するのが基本となるためです。丸洗いは基本ドライクリーニングなので使用する溶剤は油性。汗は水分なのでそれを落とせるのは水性(水)という事になるのです。
洗った後に汗ジミがしっかり落ちているか確認のためもう一度水を噴霧してみます。

  

先ほどとは違い水が生地に素直に吸い付いていますね。これで汗がしっかり落ちている事が確認出来た事になります。
  
仕上がりです。

今回の様に乾いた状態では目で確認出来ない汗ジミはとても厄介だと思います。(目に見えて分かりやすい汗ジミもあります)見えないだけにそのまま放置してしまいがちとなりそれが変色に繋がりかねません。汗があるのでは?と疑いを持ち適切な処理を確実にする!それが我々の仕事には大切な事だと思ってます。