2016-08-19
留袖のご着用後のお手入れでお預かりしました。
掛襟の部分です。
掛襟は肌と直接触れる場所なのでどうしても汚れが付きます。
しっかりと洗っていきます。
画像の明るさが変わってしまってますが、洗っても黄色く残ってしまってます。
肌と触れるという事はそれだけ皮脂や汗など汚れが付きやすいと言う事です。
油性と水性でしっかり不純物を取り除く下処理が重要です。
最後に黒色を入れて仕上りです。
色を入れる前の下処理を怠ると、色を入れてもまた変色してきてしまいます。
生地に不純物が残っているためです。
下処理をしっかりしているかどうかは残念ながらお客様にはわかりません。
目に見える以外のところでも一切手を抜かず信頼していただける仕事を心がけております。
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2016-08-07
当店がお預かりさせていただく常連のお客様からは特にご指示をいただかない場合が多いです。
おまかせでチェックして何かあればキレイに、という暗黙のルールみたいなものですね。
ですが汗は見ただけでは分かりにくい場合が多々あります。
↑ 上の画像 では( 袷の着物で着用すると脇に来る部分を裏返してあります )
何も無い様にみえますが、エアブラシで水を噴霧してみます。
この周辺を汗を分解する薬品を付けてしっかりと水洗いします。
よく丸洗いで汗も落ちると思われている方がいらっしゃいますがそれは間違いです。
丸洗いはドライクリーニングとなる場合がほとんどです。
ドライクリーニングは油性の溶剤で洗います。
水性のシミである汗は油性の溶剤でどれだけ洗っても決して落ちる事はありません。
着物を着られる方には是非覚えておいていただきたい事です。
汗をしっかり水洗いして乾かした後にもう一度水を噴霧してみます。
均一に水が浸透するかの確認です。
均一に浸透した、という事は汗がしっかり抜けている、という事になります。
常連様がおまかせでお預け下さるということは、私という職人を信頼していただけている証拠だと思っております。
そのお気持ちにしっかりお答え出来るようにシミを見つけ出す!私が大切にしている事の一つです。
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2016-07-24
今回は着物を染めた時点で出来てしまった難の直しです。
場所は上前の身頃と衽の合口部分です。
白いぼかしの部分が、かなりズレてしまってます。
ぼかしで引き染めする場合はあらかじめ印を付けてズレの無い様に染めるのですが
中にはこの様な事案も出て来る事があります。
そこで我々の様な染色補正士の出番が来る訳です。
今回は一番ズレている真ん中の部分のみのご依頼です。
まずは白い部分を太くして無理やりつなげてしまいます。
太くつなげたら後はその周りに地色を入れていき、つながりが良くなる様に修正します。
集中して作業していたので途中経過の写真を撮り忘れてしまいました。
説明だけでは少し分かりにくいかも知れませんね・・・
仕上りです。大きくズレていたぼかしをつなげる事が出来ました。
真ん中がつながる事によって上下のぼかしの微妙なズレが気になってしまうかも知れませが
そこまでは手をかけなくてよいとのお客様のご指示事がありました。
染め屋さんがどんどん反物を染めていた時はこういった仕事も沢山ありました。
しかし、染めても売れるかどうかわからない現状では必然的にこのような仕事も無くなってきます。
この手の仕事が少なくなったとしても技術は決して失ってはいけない!と思っています。
この世に着物が存在する限りは腕を錆びつかせぬよう 私も精進の日々です。
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